米軍プロジェクトが公告になると、応札に必要な情報として、プロジェクトを進める仕事の内容を記した作業概要、仕様書、図面、参考資料、契約条項付き応札書類が提供される。
これらの書類をもとに応札に必要な情報が提供されるのだ。
書類に目を通して自社に必要な情報を抽出していくと、仕様書や契約条項、図面の要求事項など、さまざまな項目に疑問や不安を感じることがある。
その場合、応札希望企業には質問する機会が与えられる。自社の抱える不安や疑問、プロジェクトの作業や製品の代替案などを提案できるチャンスだ。
そこで契約事務所はこれらの質問をまとめ、契約に関する内容は契約事務所が、技術的な内容はプロジェクト担当の技術者や設計担当、専門部署に質問を投げかける。
すぐに自社の抱える疑問点や不安が解消されれば問題ないが、ある程度まとめた質問に回答するには時間がかかる。そして2週間、長い場合は1カ月以上かかって答えが返ってくるのだ。
答えはあなたの期待を裏切る
契約事務所からの回答に対してあなたは、おそらく期待を裏切られることになるだろう。
というのも、仕様書の記載内容の疑義に対し、どのような回答が来るのかを期待していた分、落胆することになるからだ。
「仕様書記載の内容をご参照ください」
「仕様書記載の通りに作業を進めてください」
このような回答がよくある。
というか、それしか返ってこないこともあるのだ。技術的な内容を聞いても「図面を参照ください」などの答えが返ってくる。
「えっ!」
そう、まさに「えっ!」となるはずだ。
契約事務所を信じるな
契約に関しては契約事務所は非常に詳しいが、技術的なことや実務に関しては素人に近い。
だからこそ、技術系の内容に関しては担当技術要員に聞くのだが、彼らも程度の差はあれ、そこまで詳しくない人が答える場合があり、答えに落胆してしまうことがあるのだ。
だから、契約事務所の回答には当てにならない答えが多くある。
だからこそ、契約事務所の言うことを信じてはいけない。
では何を信じる?
仕様書記載の変更がなければ仕様書を、図面変更がなければ図面を信じるほかない。
というのも、米軍サイドも落札企業サイドも、これらの書類を元にプロジェクトを進めるほかないからだ。
僕は何度も契約事務所サイドと折衝した経験から言えば、彼らは最終的にばつが悪いように「仕様書に従いなさい、図面をもとに作業を進めなさい」と言う。
だからこそ、不満はあれどプロジェクトは仕様書と図面をもとに進めなければならないのだ。
信じるのは仕様書と図面だ。契約事務所の回答はあまり当てにはならない。
これは米軍プロジェクト成功の原則である。