米軍予算はとても複雑で、割り当て方法も日本とは異なる。米軍基地建設関連予算については、国防総省からの予算配分と陸軍工兵隊(USACE)の配分で行われるのだ。
そして今回のバイデン政権による1兆ドル(日本円でおよそ114兆円)のインフラ投資法案可決は、とても重要な意味を持つ。
1兆ドル予算が超重要な意味を持つたった1つの理由
それが陸軍工兵隊への予算配分だ。日本ではあまり知られていないが、アメリカでは陸軍工兵隊は、米国内のインフラ建設に関して重要な組織なのだ。
超大型インフラ投資建設案件の例を挙げれば、世界最大のダムであるフーバーダム建設、船舶航行のために切り開いたパナマ運河。すべて陸軍工兵隊が建設プロジェクトを牽引している。軍の組織である上に、民間工事のインフラ工事に大きく関わっている組織なのだ。
なので、陸軍発注の建設案件、特に大型建設に関しては、陸軍工兵隊が取り仕切っている。予算配分が十分にいきわたらなければ、陸軍工兵隊は建設プロジェクトを立ち上げることもできず、出来高に対しても支払いができなくなってしまう。そうなると、結局は米軍建設関連企業も十分な売り上げを作ることができないのだ。
だからこそ、この1兆ドルのインフラ予算可決は、我々米軍ビジネスにも影響がある話なのだ。
今後のプロジェクトは大型案件がひっきりなしにやってくる
ここ沖縄でいえば嘉手納、本土では横田、三沢に大型案件がやってくる。調達速報でも何度か紹介している、飛行場インフラ設備関連の調達案件は、ここ数年でも大きな案件となるだろう。
例えば、横田ではC-130と呼ばれる輸送機クラスの飛行機を格納できるメンテナンス施設整備案件で300億円クラス、嘉手納ではヘリコプター用の格納庫と関連施設建設で250億円クラスの案件がある。来年度は、C-130のメンテナンス施設と格納庫の案件で500億円クラスの予算で発注予定があるのだ。
これまで私が知る中では、大型、超大型案件となることは間違いない。それら大型案件を担う陸軍工兵隊の動向は今後も注目だ。そして来年度予算の動向もどうなっていくのか、我々米軍ビジネスに関わる関係者として様子を見ていくべき案件の流れとなっている。