米軍プロジェクトでは、おおよその資材が日本製品で使用できる。米陸軍工兵隊(USACE)は【現地で調達できて、代替できるものがあれば積極的に利用する】ことを推奨しているからだ。実際に、米国製品の代替可能な日本製品の製造規格や試験規格であるJISの代替可能リストが配布されている。現地調達すれば、調達コストが下がり、現地企業の作業性も高められるため、合理的な判断だと言える。

だが、ある製品に限っては、ほぼ100%米国製品を使用しなければならないものが存在する。


米国の規格に合わせた製品かどうか

まず、大きく分けてこれだけは米国製品でなければならないものを簡潔に述べよう。それは、電気、機械、消防設備だ。

これには理由がある。米国の**統合施設規則(UFC)**というものが存在し、この規則に従った設備でなければならないからだ。そして重要なのが、全米消防法NFPA70と呼ばれる消防法によって、火災時の耐火能力を有する製品規格でなければならないというものがある。このUFCとNFPA70は、とりわけ建設でも施設管理でも、機械設備取り付け交換業務でも、施設に関するものすべてを規制にかける門番のような役割を持った規則だ。なので、この規則に則った製品は大体が米国製なのである。

もちろん一部日本でもUFC、NFPAの規則に準じた製品はあるが、日本製品はとりわけ少ないのが現状だ。そして代替品として使用できる製品を探し出すにも時間がかかる。だから必然的に、時間と労力を効率よく使って製品選定をするには、米国製が簡単に見つかるわけだ。

電気資材を見ても、配線ケーブルはAWGと呼ばれる米国規格、線径でもインチ法の規格品を使用し、UL, NEC, NEMA, NFPAなど多くの規制に則った電材が必要になる。この際、電圧の関係から日本のケーブルは代替使用できないので注意が必要だ。

機械で代表的なものが、中央管理空調システムのHVACと呼ばれる空調機器だ。こちらは空気流入量にも、湿度管理の関係から室内に有害物質が流入しないように定められた空気流入量、黒カビ発生を防ぐために湿度管理が必要などの基準がUFCという規則で定められている。また火災時に排煙ダンパといったダクト設備と合わせて消防設備と連動させる必要があるので、NFPAに準じた規格でなければならない。

非常用電源装置もある程度日本製の発電機も認められるが、バックアップ電源として使用するUPSと呼ばれるバッテリーシステムも米国製を使用しなければならない。

他にもセキュリティシステムも米国の国防総省規格NISTがあり、それに従ったセキュリティを導入しなければならず、基幹システムもすべて米国仕様でなければならない。

消防設備もNFPA基準を満たさなければならない機器でなければならず、日本規格の消防装置や設備は設置できない(ただし防衛局発注の建築物であればそのままで問題ない、または米国製と連動して設置させている)。


米国製品を使用すべきポイントを押さえておけば問題ない

まずは先ほど述べた製品類が米国製品だと理解すれば、あとはほぼ日本、現地で調達できるものであれば問題ない。他にも塗料や化学薬品でも一部米国製指定のものがあるが、代替できるものもあるのでここでは省略している。

とにかく「ここは日本だから日本製が使えて当然」という勘違いな発想は捨てよう。たとえ米軍基地が日本国内にあっても、仕様書記載内容は米国連邦法の規制下にあるのだ。なぜならば、米軍プロジェクトの予算の出どころは米国民の税金だからだ。しかも税金の使途を仕様書で定めているので、縛りがあるのは当たり前の話である。だから、これらの製品が米国製であることが大前提なのだ。

米国製品使用の際、気をつけなければならない製品が何かを理解すれば、プロジェクトはスムーズに進むだろう。

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