先日、在日米軍での航空用格納庫建設プロジェクトでの話だ。元請け企業は、品質管理試験である問題に直面していた。
品質管理試験で仕様書の要求事項に従った現場試験を行わず、契約事務所より作業中止命令が下され、米軍プロジェクトがストップしたという話だ。これまでのプロジェクトの作業は順調に進めていたのに、なぜ品質管理で工事がストップしてしまったのだろうか。
品質管理で止まった”最大”の理由
それは「プロジェクト関係者が仕様書をちゃんと読んでいなかったから」だ。
米軍プロジェクトは規模にもよるが、最低でも数百ページ、大規模プロジェクトだと3000ページを超えることもある。仕様書は当然英語だ。日本語でも数百ページ、数千ページの仕様書を読むのはつらいだろう。加えて英語となると、敬遠しがちになるのは理解できる。
しかし、英語が苦手であれば、翻訳をして仕様書をしっかり読むべきなのだ。翻訳した仕様書を読み込まないことはナンセンスだ。工事中止命令が出たのも、仕様書に従った品質管理試験を実施していなかったという単純なミスだったのである。
これはよく起こる米軍プロジェクトのミス
仕様書をちゃんと読まないプロジェクト担当者は、意外かもしれないが、この業界にはかなりいる。特に元請けとしてプロジェクトを担う企業に多くいるのは事実だ。
仕様書を読んで、何が必要なのかを理解することは大切だ。仕様書を読んで理解する、これが基本なのだが、他にやらなければならないことがあって時間が足りないのは理解できる。だが、仕様書を読む時間は作って読まなければならない。
仕様書を読んで理解することが基本の米軍プロジェクト。仕様書をしっかり読むようにすれば防げること、理解した上で何をやらなければならないかのヒントは仕様書にある。問題に直面して仕様書を細かく読む前に、あらかじめ準備して想定できる問題に対処するのとでは、プロジェクトの進行にも大きな差が生まれる。
プロジェクト開始前に仕様書をしっかり読むこと。これが米軍ビジネスで成功する基本の第一歩だ。