最近、KY活動と呼ばれる、危険予測活動の米国版について作成する依頼をいただいた。改めて危険予測活動の米国版についてマニュアルを読み直すきっかけになったので、今回あなたにもお話をシェアしたいと思う。
米軍基地内での作業活動をする場合、日本国内とは若干違う細かな規定がある。作業の安全・衛生活動を通し、予測可能な事故を防ぐためにどのような対策を取るべきかを記したのが、米国陸軍安全・衛生管理規約 EM385-1-1だ。
EM385-1-1 は米軍基地内の活動すべてを司る
EM385-1-1 はそもそも、米国の労働安全衛生局(OSHA)の労働管理規約をベースに、陸軍工兵隊が基地内作業活動のルールとしてマニュアルを作成したものである。このマニュアルは、すべての作業がこの規約に従った安全作業でなければならないと定めており、米軍ビジネスでは厳密に従うよう高度な要求事項がある。
そのマニュアルをもとに元請け企業は、プロジェクトの作業内容に合った**安全管理計画書(Safety Plan)または事故防止計画書(APP)**を作成し、契約事務所の承認を得なければ作業を始めることはできない。つまり、この作業安全計画書をもとに作業を進めるわけなので、この作業計画書が承認されなければ、安全に作業を進めることができないと契約事務所が判断するのだ。
承認の可否を決めるのは、すべての作業活動がEM385-1-1に従って定められているかを審査することだ。つまり、米軍プロジェクトのすべての作業はEM385-1-1に従わなければならないのである。
EM385-1-1は安全の大切さを改めて知らされるマニュアル
私はKY活動や安全管理計画書を作成する際、必ずこのマニュアルに目を通す。そしていつも思うのは、新たな発見と新たな学びがあることだ。なんといっても、このマニュアルに従う重要性を認識することができる。
マニュアルだから分厚いページにも及ぶ様々な作業に関する安全知識と安全管理方法がびっしりとあるが、それだけ人命を守るための施策には限りがないということだ。人をケガや事故から守るためにも、EM385-1-1を学び、活用していくようにしてほしい。
米軍プロジェクトに関係ないにしても、自社の作業活動にも取り入れる良い機会だと思う。ウェブサイトでは無料で日本語版も配布されているので、ぜひ活用してほしい。