どの業界でも、その業種ごとに圧倒的な強さを持った企業が存在する。自動車業界ではトヨタ自動車、IT業界ではソフトバンク、金融ではゴールドマン・サックス。それぞれの企業が強いのは、熾烈な競争の中、ナンバー1という地位を築いてきたからだ。けれども、競争という概念を除くと、会社の強みでひたすらナンバー1を独走する企業というものが存在する。
ナンバー1ではなく「オンリー1」が本当の強み
業界ナンバー1を目指す企業は、熾烈な競争を生きていかなければナンバー1にはなれない。そのためには、安くサービスや商品を提供し、多くの従業員を動員し、質より量を求めて市場のシェアをどれだけ多く獲得するかに目を向ける。
けれども、「オンリー1」の企業は、競争という概念を捨て、商品やサービスの単価はナンバー1企業よりも高めだ。従業員もそう多くはない。市場のシェアをどれだけ多く獲得するかというよりも、スキルを磨き続けることに注力する。
オンリー1企業の代表として例を挙げれば、樹脂加工のDAP素材を製造するダイソーという企業を、たぶんご存じないだろう。DAP素材とは、スーパーで売っている刺身のパックの、刺身とパックの間にあるティッシュのようなシートのことだ。このDAP素材は世界シェアがほぼ100%なのである。DAP素材のおかげで鮮度を保ち、美しい状態で刺身をディスプレイできる。ダイソーがオンリー1になれたのは、独自の「売り」を持っているからなのだ。
米軍ビジネスでも強い会社の特徴がある
それが「オンリー1」というキーワードだ。米軍ビジネスでもオンリー1の企業の特徴はたった1つしかない。それは、【誰もやらないことをやる会社】である。
例えば、米国製品を設置することに特化した企業はとても強い。入札しても勝つ確率はかなり高い企業があるのだ。米軍基地内の米国製品の例を挙げれば、消防機器、空調システム、電気配線などがある。国内の企業の場合、国内製品を取り扱い、工事実績の多い企業は多くある。だが、米国製品の設置となると二の足を踏む企業は多い。ほとんどの場合、言葉の壁や保証に関することで取り扱いを躊躇してしまう。しかも、設置経験がないことに不安を覚えるのだ。
でも、それらの障壁をクリアするのはそんなに難しいことではない。言葉の壁があれば通訳や翻訳の担当者を見つける、保証に関してはメーカーのバックアップを得る、設置経験がなければ設置経験のあるエンジニアを招へいする。できないことをどうやってやるかを考えれば、答えは必ず出てくる。
誰もやらないことをやる企業は米軍ビジネスでもダントツに強いので、仕事を獲得するために入札に頼る調達よりも、案件の依頼を直接受けることが多い。
米軍ビジネスで強い会社は、誰もやらないことをやる企業だ。自社でできること、誰もやらないことで何があるかを考えていけば、オンリー1企業になれるヒントが見つかるだろう。
あなたの会社は、どんな「オンリー1」になれるだろうか?