米軍ビジネスで最も危険な言葉。それは「なんとかなる」だ。
実は昨日、私の米軍ビジネスに関する知識を深めるきっかけとなった恩人と2年ぶりに顔を合わせたのだが、その時の会話に出てきたのでこの話をしたい。米軍ビジネスを日本の国内プロジェクトと同じように簡単に進めると、とんでもない失敗をしてしまうことがある。その原因となるのが、よくあるセリフ「なんとかなる」なのだ。
もし、使用する資材の承認が米軍から得られなければ?もし、技術的な問題が発生したら?もし、米軍側からプロジェクトの進行を早く進めるようにプレッシャーを受けたら?もし、プロジェクトの進行がストップして待機になったら?もし、もし、もし…。
そんな状況になったら、どのように問題を解決するのだろうか?「なんとかなる」は、実は米軍ビジネスではとても危険な言葉なのだ。
「なんとかなる」はとても危険で無責任な言葉
何が言いたいかというと、発注者である米軍は、いわば顧客だ。顧客からの要望や不安、疑問に関しては、可能な限り相手を納得させ、安心させる必要がある。しっかりとした状況説明、要望を受け入れ可能な場合と難しい場合、疑問や不安を払拭するためには、丁寧な説明と理由を説明しなければ、お互いの目的達成のための信頼関係を築けない。
「なんとかなる」という言葉は、相手に説明し納得してもらうための努力を怠ることにもなるのだ。
アメリカ人の文化には、理由と説明を語る文化がある。相手の信頼を勝ち取るには、理由と丁寧な説明が必要だ。加えて、もしもの想定外の事態が起こった時、あらかじめ想定していた事態を解決するための手段や方法を持っていることを求められる場合もある。
「もしも」の事態が起こらないのは、それはとても良いことなのだが、想定外の事態が起こるのが現場だ。そんな時、「なんとかなる」という発想は何ら問題を解決するための助けにはならない。
もしもの事態を想定し、今取り組んでいるプランに代替できるバックアッププランや、問題解決手段、事情説明を丁寧にすることを米軍側は求めてくる。そんな時、「なんとかなる」は全く通用しないのだ。
「なんとかなる」はとてもポジティブな言葉かもしれないが、米軍ビジネスでは無責任な言葉だ。最も危険な言葉「なんとかなる」は、決してなんとかならない。
米軍ビジネスに取り組む際、実際に考えなければならないのは、何かしら「起こること」を想定して対策を練っていくことだ。これが一番大事なマインドセットである。