今日は手短な内容でお話する(笑)。

知っていることを隠すと、嘘だと勘違いされる

米軍のプロジェクトで直接米軍側とやり取りをするのは、COR(契約担当官代理)と呼ばれる現場指導監督の立場にある担当者だ。スケジュールや作業手順、進捗状況、品質管理業務など、現場の実務を司る担当者で、現場のいわゆる検査官、インスペクターと呼ばれる人物である。

昔の話だ。海軍基地のエレベーターの保守管理プロジェクトでのこと。CORとのミーティングで品質管理に関する報告があった。通常のルーティンの点検作業後、点検報告書を毎月提出するのが決まりだったのだ。

私は本来ならば知っていることを「今は言うべきではない」と判断し、報告書に伝えなければならないあることを記載せずに提出した。しかし、それが後々恐ろしいことが起こるきっかけになった。

ある時、エレベーターが緊急停止し、使用不可となったのだ。サービスコールと呼ばれる緊急事態があった時の呼び出し要請が、米軍のチケット発行センターと呼ばれる「サービス課」を通し、CORに要請があった。正式にサービスコール対応要請を受けた時、駆け付けた私と保守点検の協力企業は、緊急停止したエレベーターの現状復旧を行い、作動停止の原因を調べた。

調べたところ、エレベーターの制御ボックスにある回路に不具合が生じ、できるだけ早く基盤を取り替える必要があることが分かり、早急に部品を取り替えるよう報告書に記載した。

そこでその報告書を受け取ったCORからの回答があり、ルーティンの報告書にその推奨すべきであった基盤の取り替えの報告をかつて行ったのか質問を受けた。そう、あることとは「制御盤の基盤の取り替えに関する推奨意見」だったのだ。

私がそれに答えたのは、「基盤を変える必要があるのは知っていました。でもそれは報告していませんでした」というものだった。そこでCORはかなり厳しい言葉を返した。「知っていることを隠すことは、それは君、『』をついていることになるんだよ」

幸い、エレベーター内に人が閉じ込められることなく、けが人は誰一人いなかった。確かに人に被害が出ていたら恐ろしいことだ。本来報告すべきことをあえて黙っていたということは、報告によって未然に防げた事故、報告怠慢によって生み出された事故があってもおかしくない話ではない。

それはそれで、知っていることを黙っていればごまかしがきいたかもしれない。だが、それは人によっては信頼を裏切られ、嘘をつかれたと解釈されてもおかしくはない。

私はこの事件以降、CORに対して二つの思いがあった。一つは、隠していてすみませんという思い。二つ目は、大きな学びを与えてくれてありがとうという思いだ。以来、私は積極的に細かなことでも報告するようになり、彼らの信頼に応えるように努力した。

この教訓から得られたことは、「知っているつもりでも隠せば嘘になる」ということだ。米軍プロジェクトに限らず、あなたのビジネスでもありうることだと思う。「自分に都合が悪い話でも正直に話すこと」、これが信頼を得る、互いに信じることの第一歩になるだろう。

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