[subscriber:firstname | default:subscriber]さん、
ある日、私は1本の電話を受けた。「15日までに質問票を米軍契約事務所に提出しないといけない。だからその質問票を取りまとめてほしい」という内容だった。今度正式に調達公告が出たある米軍プロジェクトがあり、そのプロジェクトの仕様書と図面、資料を確認済みだった。そこで、私の知っている企業の担当者から、質問内容を取りまとめて出すようにという話だ。
私は指定された日の時間にその会社に手ぶらで赴いた。私の中には質問すべき項目が何かを知っているし、質問内容を取りまとめ、契約事務所に提出することはできる。しかし、提出する内容をあえて紙にまとめず、その会社に赴いたのだ。
情報はタダじゃない
「例の質問内容まとめてきた?」
私が訪問するや否や、担当者にこう質問された。そして私は答えた。「いいえ、まとめることはできます。このプロジェクトは図面と仕様書に大きな矛盾を抱えているのは知っています」
担当者は言った。「それが分かっているなら、それをまとめてくるんじゃないの?」
私:「確かにそうです。私は今回、それをまとめる時間を割く必要がないと思い、あえて紙にまとめておりません。その時間をかけることは私の時間を使います。そもそも私は御社とは契約をしておりません」
担当者:「…そうですよね、確かにおっしゃる通りです。ただ質問状提出の期日は明日の15日なんです」
私:「私なら、何を質問として契約事務所から必要な答えを引き出す内容を把握しております。契約をすぐに結べるなら、すぐに提出しましょう」
担当者:「契約ですか…今は無理でも落札後なら何とか…」
私:「確かに今すぐ契約なんて無理ですよね。では質問状作成、頑張ってください」
そう言って私は軽く雑談をして、すぐにその会社を去った。
冷たい対応と思われるかもしれないが、私はビジネスとして考えた場合、情報を扱う仕事をしている分、仕事のネタをタダで差し上げるつもりはない。ここで話している内容もすごく貴重なネタなのだが、私が本来得意としている情報の分析、分析による問題点の発見と解決方法はタダではないのだ。
情報はタダだと思う方は、このように私のような専門家をタダで使うようなことをする。私は私自身のノウハウを使って米軍のプロジェクトを手伝っている。ぶっちゃけて言えば、質問状は、1000ページの仕様書と200ページの図面を読めば、1日でおおよその質問状を書き上げることができる。理由は単純だ。そのノウハウを持っているからである。それが私の武器であり、強みでもある。そのノウハウを使って情報収集する。そしてその情報を提供することに対して、私が使う時間はタダではないと考えている。
人を動かすことはお金がかかる
これを理解していない人は、無駄な仕事を押し付けたり、相手の時間を束縛する。逆のことをされると自分が不快になるものだ。私はそういうことをすることは好きではないし、そういうことを相手には求めない。
あなたが情報がタダであると認識しているのであれば、必要な情報はあなたの元にはやってこないだろう。欲しい情報はお金を払ってでも手に入れる。それをぜひ考えてみてほしい。