米軍基地における安全管理のルールは、日本国内と同じだろうか?
答えは【NO】だ。米軍基地内で安全管理施策を行う際は、米軍独自の、アメリカ国内独自の安全施策に従う必要がある。とりわけ安全施策に関しては日本よりも厳しい基準で、作業前の安全対策の検査が実施される。米軍プロジェクトにおいて現場管理の一つに、安全衛生管理計画書に基づいた計画がしっかりと行われているかを確認するのだ。
基地内で作業する場合
維持管理業務、輸送、建築など、様々なプロジェクトがある。どんなプロジェクトであっても、作業を伴う仕事があれば、すべて米軍基地内の安全衛生管理規則に従った作業を要求される。その規則・指標となるのが、安全衛生管理マニュアルEM385-1-1というものだ。
EM385-1-1がすべて
米陸軍工兵隊(USACE)が発行する、作業時における安全・衛生に関するマニュアルに従うことが、プロジェクトを円滑に進めるための肝となる。EM385-1-1はそもそも米国の労働安全衛生局(OSHA)が定めるルールをもとに作成されている。
日本では厚生労働省が管轄だが、日本国内の労働安全衛生基準では、米軍基地内での作業を安全に進めるためのルールが基地内での作業には当てはまらないのだ。
例えば、高所作業を行う場合、米軍基地内では必ず、1.8m以上の高さで作業を行う際に足場を建て、落下防止用の手すりを取り付けなければならない。また、作業員の安全防護策として必ず、反射ベストの着用義務がある。最近では日本でも高所作業を行う際は落下防止用ハーネスの着用が進められているが、すでに米軍基地内ではハーネス着用が義務付けられている(安全帯は禁止だ)。
このように、安全衛生基準は基地内だと細かなところで異なる。EM385-1-1には様々な作業を行う際の細かいルールが網羅されており、それぞれの作業に合ったルールを徹底して守るように求められる。実際の作業ルールが日本国内で通用するもの、基地内でしか通用しないルールがあることを意識して作業を行うよう心がけてほしい。
EM385-1-1は日本の企業向けの日本語訳もあるので、お時間がある時にでもネットで検索し、ダウンロードして読んでみてほしい。
日本語版EM385-1-1はこちら:https://www.usace.army.mil/Missions/Safety-and-Occupational-Health/EM-385-1-1-Manual/