今から2日前の10月7日の夜、そろそろ眠ろうかとテレビを見ていた時、ニュース速報が流れた。地震速報だ。「千葉県で震度5強」。
「‼‼‼」
私はあの時の恐怖を思い出した。そう、あの時とは2011年の東日本大震災。甚大な被害をもたらした恐ろしい地震である。現在、列車の遅延、東京は足立区の水道管破裂、特急が脱線したなどとニュースでは流れていたが、人的被害も、けが人はいても亡くなった方は今のところゼロだ。不幸中の幸いとはこのことを言うのだろう。
コロナの次にはアフガニスタンの撤退、インフレ、そして今回の地震。起こることがいろいろ多すぎて本当に不安になる。こんなことが起こるなんて誰が予想できたのだろうか?きっとあなたも次に起こることが何か、将来何が起こるのかは予測することは難しいと思う。そして将来起こりうるシナリオに対してどれだけの人が備えていたのだろうか?「将来起こりうるリスクで起こる可能性の低いリスク」として地震による影響を考えた方はどれくらいいるだろうか?
テールリスクの概念
様々な会社は、将来起こりうることに対して、リスクが何か、何らかの対策方法を考えているはずだ。「まあ、ここまで用意すれば将来何か起きても大丈夫だろう」としてリスク対策を講じていると思う。
リスクマネジメントという概念を考えた場合、何か起こりうるリスクに対してうまく危機に対処するのが一般的な考え方だ。しかし、リスクマネジメントにおいて、二つのリスクに対して対策を講じている企業はものすごく少ないと思う。
2つのリスクには、「起こる可能性の高い将来の出来事」と「起こる可能性の低い将来の出来事」の2つがある。
起こる可能性の高い将来の出来事の例としては、コロナ感染の再拡大や経済停滞などは身近に感じやすい出来事で、いつか来るだろうとおおよそ考えつくはずだ。一方で、起こりえないとか、発生する可能性の低いリスクとして、戦争、地震、津波など、一見すればあり得ないことがそれに当たる。自分の想像をはるかに超えるリスクがこのテールリスクという考え方なのだ。
米軍ビジネスはテールリスクを念頭に考える
話は変わるが、米軍ビジネスで失敗した話をよく耳にする場合、通常国内で行うビジネスの中では起こりえないことが起こってプロジェクトが失敗してしまう、ということが起こる。
例えば、契約の変更だったり、使えると思った資材が使えなかったり、交渉がうまくいかなくなってプロジェクトが中断したり、契約の打ち切りになったり。にっちもさっちもいかなくなって途方に暮れる、なんてことがよく起こるのだ。
自分が考えていなかったことが起こった時、大抵失敗している。もし自分が考えていなかったことが起きた場合、問題に直面し、どう対処するかを考えていれば対処できたことは多々ある。
もし契約変更が起こった場合どうするか? もし使える資材が急に使えなかった場合、何を代替品として使用するか? もし交渉がうまくいかなかった場合、他に提案できることはないか? もし契約打ち切りになった場合、その契約をどのようにして再契約できるのか?
もし、もし、もし。仮定を前提としたテールリスクにどう対応するか、それも米軍ビジネスでは考えなければならない。
もしも何かが起こったら、あなたはどう対応するのか?これを考え計画を立てる会社は強い。会社の規模は関係ない。リスクを回避するよりも、リスクをどうコントロールするかがとても大切だ。起こりえないと思うことが起こる前提で対応する会社は、米軍ビジネスではうまくいく。
理解しにくい難しい話だが、地震が起こった機会に考え直してほしいと思ったので長々と書いた。
一度時間を取って【テールリスクについて】考えてみてほしい。