ビジネスを進める際、成功の格言に「顧客のニーズに応えよ」というものがある。顧客、市場が求めるものに対して製品やサービスを提供すれば成功するという話だ。きっとあなたも聞いたことがあるだろう。
しかし、顧客や市場のニーズを聞いたからといって成功できるとは限らない。顧客や市場のニーズに応え、熾烈な競争を勝ち抜いて成功するという話をテレビやニュースでよく耳にするが、果たしてニーズに応えることが成功のカギを握るのだろうか?
ニーズVSウォンツ
ところで、ニーズとウォンツの違いを説明できるだろうか?少し考えてみてほしい。
ニーズとはどういう意味だろうか?ウォンツとはどういう意味だろうか?この違いを説明できるだろうか?
「ニーズ」とは顧客が求めるもの、必要とするもの、「ウォンツ」とは顧客が求めるもの、欲しいもの、と答えるかもしれない。ニーズとウォンツの意味を明確に理解するために、ここで定義したい。
- ニーズとは、顧客が感情に痛みが伴うもの。
- ウォンツとは、顧客が感情に快感をもたらすもの。
「ニーズ=必要なもの」という意識では、必要だけれどもできるだけ安く手に入れたいという感情が働く。だから、財布から出ていくお金を極力減らしたいという感情が伴うのだ。
一方、「ウォンツ=欲しいモノ」という意識では、欲しくてたまらない、それを手に入れるためにはお金を惜しまないという感情が働く。だから、財布から出ていくお金は出せる限り出したいという感情が伴う。
例えば車を考えてみよう。移動手段として車を買う場合を考えてみてほしい。車が必要だという考えをベースとした場合、移動手段として動けばよいと考えれば、極論30年落ちの軽自動車でも問題ない。
だが、車が欲しいという考えをベースとした場合、移動手段としてではなく、他の感情が働く。例えば、女の子にモテたいとか、友達に羨ましがられたい、注目を浴びたいといった別の欲求が強く働くのだ。だから、車には自分のお金を大きく出せる範囲まで注ぎ込む。メルセデスベンツを始め、ランボルギーニやフェラーリなど、どんどん高級な車があるだろう。軽自動車とフェラーリの価格の差は、すべて【ウォンツ】の強弱の差でもある。5万円の30年落ちの軽自動車と4,000万円のフェラーリの差は3,995万円。つまりウォンツの差が金額になるのだ。
何が言いたいかというと、ウォンツをベースにしたビジネスが粗利も高く、成功する確率が非常に高いということだ。薄利多売で売る商売をベースにしていると、いつまでたっても利益率の高い商売はできないし、会社に残るお金をプールすることもできない。しかもウォンツを商売にすると、価格競争やライバルと競争することも少なくなる。
もう一つ例を挙げよう。コンビニで売っている串カツが140円であるのに対し、とんかつ屋さんの串カツが1本380円だったとした場合、それぞれの串カツに払うお金の差はすべてウォンツだ。おいしいものが食べたいという欲求が快感を求めるウォンツである場合、140円払うよりも380円の串カツにお金を払うわけである。ウォンツ=快感、欲しい気持ちという感情が強ければ強いほど、人はお金を多く出すのだ。
なぜ多くの女性はヴィトンのバッグを欲しがるのか?
もし誰か近くにいる同僚や従業員、女性に聞いてみてほしい。なぜルイ・ヴィトンのバッグが欲しいのか。もしヴィトンのバッグを持っている方がいれば、どうしてヴィトンのバッグを買ったのか聞いてみてほしい。そこには隠された欲求が眠っているはずだ。ウォンツはそれだけ強力なものなのだ。
ニーズは痛みが伴う感情だ。だから他に安いモノを探す。
相見積もりをされた場合
相手は価格という痛みを極力少なくするように相見積もりを取る。できるだけ安くことを済ませようとするのだ。
だが、相手の痛みに訴えるのではなく、相手の欲求に訴えることができれば、相見積もりをされることはない。
相手が欲しいと思うアフターサービスをつけたり、保証期間を延ばしたり、どこも誰もがやっていないことをやったり。
**ニーズをどうやってうまくウォンツに変換できるか?**これこそが本当の成功のカギだ。
1本100円のミネラルウォーターを1本10,000円で売るとすれば、どう売ればよいのだろうか?答えが分かったら、一度私にメールをください(笑)。