Otani san!
大谷選手といえば、きっとあなたはご存じだろう。メジャーリーグのロサンゼルス・エンゼルスのスター、大谷翔平選手のことだ。私はあまり野球ファンではないが、ニュースを見るたび彼の活躍をひそかに喜んでいる。ホームランダービーはほんのわずかな差で負けてしまったが、彼のおかげでアメリカをはじめ日本人の心をワクワクさせてくれた。
大谷選手が日米の野球ファンをはじめ、世代を問わず多くのファンを生み出してきたのかについて話したい。その理由は【自分のしたいことをやったらそうなった】からだ。
大谷選手がロサンゼルス・エンゼルスに入団する際の契約条件
大谷選手がエンゼルスとの交渉の際、年俸額よりも一番気にした契約条件が【投手として、打者として選手登録する】ことにあったそうだ。気候条件なども考慮に入れるよう交渉条件に入れたとのことだが、なんといっても大谷選手のこだわりが、「二刀流」を認めてくれることだったというのだ。大好きな野球をピッチャーとして、バッターとして使ってもらうように契約を結んだのである。
メジャーリーグでは二刀流の選手はほぼ存在しないのが常識
アメリカでは一般的に、それぞれのポジションを専門化し、能力に応じて野手は野手、投手は投手、打撃が得意な者は打撃として徹底的に細分化し、選手を育てるのが一般的なようだ。二刀流の能力として60~70%くらいの可能性のある選手でも、優れた方を伸ばして専門化して育て上げるのが常識だった。
アメリカでは常識だった選手育成法が、大谷選手の登場で状況は一変する。結果、エンゼルスのファンは大谷選手を絶大に応援することになる。バッターでもファンを沸かせ、盗塁でもファンを熱狂させ、ピッチャーでマウンドに上がれば、大きな声で声援を送っている。敵味方両方を魅了する選手はそうそういない。状況に応じてプレースタイルを変化させることができるのは本当にすごいことだ。大谷選手のようなプレースタイルをオールラウンドにこなせる選手は、まずいないと思う。
この大谷選手の活躍から、我々は何か学べることがあるはずだ。
カメレオンになれ
大谷選手のすごさは、どのポジションでもそつなくこなせる活躍にある。木々の間に隠れるまさにカメレオンそのものだ。我々は時代の先が見えない時代、コロナ禍の中にいて、コロナの感染再拡大もありうるし、コロナが終息するか誰も予想はできない。けれども、どのようなシナリオにも対処できる術を持っているのだ。状況の変化に応じて自社でできることの選択肢を多く持つことができる。
最近の例では、スポーツ新聞の東スポは、新聞を作るのが仕事の企業がラーメンの通販を始めた。建築を生業とする企業は、輸出入ビジネスを始めた例もある。民間の仕事が減り、売上が減る中、敬遠していた米軍ビジネスに参入を果たし、活躍する企業もいるのだ。
もし自社が時代の流れに変化できないのであれば、売上が減ることを黙って見ていくことを余儀なくされる。時代の流れに黙って流されるのではなく、その波を使って会社を変化させる会社は生き残ることができる。いきなり変化しようとすれば、反発や、売上の急減、従業員が去っていくという、それはそれで大きな壁が立ちはだかるだろう。しかし、急に変化する必要はない。徐々にゆっくりでいいので、変化するという決意と行動が大切だ。ゆっくりと時間をかけ変化する。1年、3年でもいいので時間をかけて変化するのだ。
変化は我々の気づかないところでやってくる。このような社会構造を大きく変えてしまうイベントは極端な事例だが、災害や戦争が起きるリスクも徐々に高まってきている現在、あなたの会社でできる変化が何か、見つめてみてほしい。