私がかつて担当していたプロジェクトで、塗装の塗り直しを行うものがあった。そこで作業開始前にアスベストと鉛のサンプル採取と試験が課されたのだ。

試験結果は、アスベストが「陰性」で、鉛が「陽性」だった。アスベスト除去はしなくとも、既存の施設の地面の塗料から鉛が検出されたため、これを除去しなければ作業を行ってはいけないこととなったのだ。

そこで高圧ジェットで鉛の入った塗料を除去することとなり、計画書を提出するよう米軍契約事務所と環境課から求められた。私は上司の書いた計画書を翻訳し、提出した。

しばらくしてから戻ってきた書類は【不承認】だった。承認を得られない原因を探すとともに、再度計画書を作り直すこととなったのだ。そこで分かったのは、「高圧ジェットで塗装を剥がした後の水の処理」と「使用済み水の有害物質除去後の水の処理」だった。つまり、鉛の塗料が入った水の処理方法と、鉛を除去した後の水の処理について、契約事務所と環境課が許可を出さなかったわけだ。

何度かこの計画書の再作成、再提出を繰り返しても承認が下りなかった。というのも、計画書の代替案を提示して納得してもらうことをしなかったことが原因だった。理由は先ほどと同じ、使用済み水と有害物質除去後の水の処理の対応方法であった。

そして上司は言った。「直接彼らと話し合い、何とか相手を無理やり説得すれば【何とかなる】」と。

結局、計画書の承認も下りることなく、使用済み水の処理と有害物質を除いた水の処理方法で代替案を出すこともなく、本来始まってよかったはずのプロジェクトは1年延期されたのだ。

この事例は我々にとても大切な教訓を教えてくれる。


何とかなるは何とかならない

日本人にとって「何とかなる」はとてもポジティブに物事を考えるイメージがあるが、外国人にとっては「何ともならない」のだ。

仮に「何とかなる」と相手に伝えたとしても、どうやって何とかなるかを伝えなければ意味は伝わらないし、納得もしてくれない。

これらを考えなければならない。ましてやアメリカ人に納得してもらうためには根拠を示さなければならないのだ。「もし〇〇ならば、〇〇〇」という答えを相手に知ってもらい、理解してもらう。そのためには何をすればよいのかを考えなければならない。

「何とかなる」は、決して「何とかならない」のだ。


あなたの会社では、「何とかなる」で済ませてしまっていることはないだろうか?

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