米軍プロジェクトでよく起こることがある。それが過去の経験が通用しないことだ。例えば、材料規格や試験規格のJIS規格、あるいは施工方法が、過去のプロジェクトでうまくいったとしても、新しいプロジェクトでは通用しない場合がよくある。「前のプロジェクトでは使えたのにどうして使えないんだ?」と思うかもしれない。
なぜ過去の経験を活用したやり方が通用しないのか?
理由は「契約担当官代理の裁量で決まる」からだ。
契約担当官代理(COR)は、技術的な観点からサブミッタルの審査、技術的アプローチの監督を行う。提出書類や作業プロセスが仕様書の要求事項に忠実であるか、一定の品質基準を満たしているかを監督する立場である。
もしあなたの提出した書類が基準を満たさない、作業プロセスが仕様書の要求事項を満たさない、品質管理基準を満たすものとして試験方法が納得のいく試験方法ではないと判断した場合、工事や作業を中断し、提出書類から作業手順、試験方法に至るすべてのプロセスを精査する場合がある。過去に同じプロセスで作業や試験を行っても米軍側にとがめられることがなかったとしても、次のプロジェクトでも同じように通用すると考えてはいけない。
プロジェクトが変われば、契約担当官代理も変わる。プロジェクトが新しくなれば、新たな視点でプロジェクトを見なければならない。契約担当官代理が過去に仕事を一緒に行った顔見知りであったとしても、油断してはいけない。
米軍プロジェクトは仕様書に忠実に作業を行うことが求められる。仕様書から逸脱した材料選定、提出書類、作業プロセス、試験方法を実施しなければならない場合、事前に承認をもらう必要がある。
「過去にやったプロジェクトと同じ作業方法だから、今回もそれでいく」という考え方は危険だ。もし、今までと同じやり方で作業を行いたい場合、試験を実施したい場合、契約担当官代理の裁量で許可してほしいものは、すべて承認を事前にもらうようにする。
これを忘れずに新たなプロジェクトに挑もう。