今、米軍ビジネス業界に激震が走っている。
一体何のことかと言うと、アメリカでは上院、下院の連邦議会で予算審議を経て次年度の予算が決定するのが例年の流れだが、未だ決まっていないのだ。現在、インフラ投資予算として1.2兆ドル(日本円で132兆円)が組まれているが、8月25日現在でも未だ可決されていない。これが米軍ビジネスに影響をもたらすのだ。
すでに予算確保されているプロジェクトではそこまで影響がないが、次に予定されているプロジェクトの予算に強く影響を与えてしまう。特に大規模インフラ事業の予算配分、予算執行の権限を持つのが**米国陸軍工兵隊(USACE)**である。アメリカ国内の治水事業(現在、大規模インフラプロジェクトがテネシー州のハリケーン復旧事業)をはじめ、老朽化したハイウェイの補修事業などは陸軍工兵隊が担っているほか、国内外の米軍基地のインフラ事業も担っているのだ。
予算が未決という異常事態が起こっている現在、アフガニスタン情勢が緊迫する中、さらに遅れが生じてしまう可能性が高まってきた。つまり、お金がなければ何も動かないということである。これは米軍ビジネスに関わる企業にとっては、売上を確保できないという死活問題につながる。
プロジェクトによっては案件のキャンセル、再検討もあり得る
米軍ビジネスでは、一度公告として挙がった米軍プロジェクトがキャンセルまたは再延長になる理由の一番は、予算確保ができなかったということがよくある。
バイデン政権になってからは、コロナ対策、経済問題、メキシコの国境問題、対中国経済締め付け外交の強化、そして突然のアフガン撤退の混乱など、多くの困難に直面し、今後の動向の先行きが予想できない。
しかし、現在の米軍調達は米国会計年度末ということもあり、予算消化のための調達案件が上がっている。けれども今後の予算審議動向に注目していた方がよさそうだ。