from: 晴れ間が見えるオフィスより
今から1年前嘉手納基地の大型プロジェクトで米軍側に技術的なことで
指摘されたことがある。
建築工事でコンクリート打設作業があった時、米軍のCOR(契約担当代理)
にコンクリート打設前の簡易試験を行っていた時だ。
コンクリートの簡易試験には、スランプ、空気量、温度などを図るのだが
コンクリートの硬さを量るスランプ試験に待ったをかけられた。
COR曰く、設定スランプの許容範囲を超えているというのだ。
簡易試験を実施するのはコンクリート技師が行うのだが、技師はJIS規格の範囲内で、問題はないという。
元請けの現場担当者は、CORに「JIS規格の範囲内でコンクリートの品質には問題はない」と伝えるも、アメリカの規格には合わないと言ってコンクリートの品質に疑問を持った。
そこでしばらくそのことについて後日会議を持って解決しようという話になった。
「今まで日本のやり方でやって来て問題がなかったのに」
問題はここからだ。
会議の場では前日に用意した資料に基づき、問題がないことを証明昭と試みるも、CORはかたくなに米国式のスランプ試験方法と許容範囲にこだわった。
仕様書にはそう書いてあると、アメリカの試験規格ASTMに従い試験をすることと。
元請けの現場担当は「日本式で今までやって来て問題は起こらなかったし、そもそも日本式ではないやり方以外どうやって試験をすればいいんだ?」
「日本のやり方でやらないとコンクリート打設はできない」
「日本人はモノ作りは自信がある、今までの経験から言わせてもらう。日本のやり方がアメリカのものよりもいい品質で作れる」
会議は平行線のままに終わり結論は持ち越しとなった。
試験方法も一つの例だが、米軍側との認識に相違があった時は、話し合いで解決するが、その場でも解決しない場合は文書で正式に米ン側の命令書が発行されれば、そのやり方に従うしかない。
その建設プロジェクトでは、結論が結局出ないまま、あいまいにプロジェクトが進んだ。
何とか最後には日本式の試験方法が認められ無事竣工できたのだが、この話からとても大切な教えが見えてくる。
それが、あなたの会社が今まで行ってきた仕事でいろいろなプロジェクトの実績、積み上げてきた経験、その道のプロであるというプライドは一度封印をすることだ。
あなたの常識は基地内では通用しない
例え米軍基地内であっても、基本は日本の領土であるが、適用される法律はアメリカであること。米軍基地内のプロジェクトは基本アメリカの税金で賄われている。
つまり、あなたのプロジェクトはアメリカの税金で支払われることになるので
お客さんであるアメリカ軍の言うことが優先されるのだ。
だからこそ仕様書に従った作業、試験方法に従う義務があるし、それに従うのが難しければ、そこは米軍側と折衝してやり方を変える必要がある。(自分たちのやり方を認めてもらう方法はあるが、それは今度の機会にお話しする)
「日本のやりかたでは…」は通用しない。
米軍プロジェクトはアメリカのやり方でアメリカの方式に従うのが原則だ。
あなたの常識は基地内で通用しないと思ってもらってもかまわない。
すべてが初めて、だからこそ謙虚にビジネスを進めるべきだ。
プライドを捨てろとは言わない、あなたのこれまでの経験やプライドだけでは
米軍プロジェクトでは通用しないこともあるということ。あなたの会社の価値を認めてもらうために、プライドある仕事をやれる自信を見せるために米軍側に納得してあなたの会社の方針を貫く努力をしよう。