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子供のころ通信簿を見るのは怖くなかっただろうか?

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今から何年前のことだろうか。あなたは子供のころ、親に通信簿を見せるのは怖くなかっただろうか。

私はいつも夏休みや冬休み、春休み前に親、特に父親に通信簿を見せることがとても怖くて、通信簿をもらった時、成績が悪い科目があった際はできるだけ遅くまで友人たちと遊び、家に帰る時間を延ばしていた。

まず家に帰るや否や母親から「通信簿を見せなさい」と言われる。私はランドセルから恐る恐る通信簿を渡す。そして母親はこう言う。

母:「算数が2って、あんたちゃんと勉強したの?」 私:「もちろんやったよ。でも難しいんだよ」 母:「夏休みは算数をみっちり勉強しないと遊んではいけません」 私:「お願いだから通信簿はお父さんには見せないで」 母:「隠し事はだめでしょ。今日ちゃんと(通信簿を)見せなさい」

成績があまりにも悪い科目、私は小学生の時は算数が苦手でいつも成績は平均点以下だったので、夏休みの初めは、ずっと机の前に座って算数の計算ドリルを2時間勉強しないと遊びに行けないというペナルティを課されていた。

父は私の通信簿を見ると悪い科目を見つけると、顔が鬼のような顔になり、ビンタが飛んだ。当時の私はそれが怖くて通信簿を見せるのがとても怖かったのだ。今となっては楽しい思い出だが、当時の私としては怒られるのが怖くて勉強していた記憶がある。

小学生には通信簿でその子供の教育レベルを図る参考資料があるように、公共工事には工事成績評定で評価点でその工事を担った企業のレベルを測る指標がある。同様に米軍プロジェクトは建設に限らず、プロジェクトを担った各企業の作業レベルやプロジェクト遂行能力を評価したものがある。それが**CPARS(シーパース)**だ。


CPARSとは?

CPARSとはContractor Performance Assessment Reporting System(請負企業プロジェクト遂行分析評価報告制度)の略で、主に米軍プロジェクトを請け負った企業に施工後の引き渡し後に契約事務所から送られてくる。

特に建設プロジェクトでは、大規模工事(10億円以上)など煩雑な作業工程、作業スケジュール、高度な技術力が要求される場合、今後請負企業が工事案件を手に入れる際、プロジェクトの落札企業選定時に影響が大きいのがCPARSである。例えばあなたが他の企業よりも安い金額で案件を落札できるのが競争入札制度なのだが、このCPARSの評価が低いと選定過程において足切り(つまり選定可能性からは排除される)される可能性がある。


CPARSの評価選定対象

技術基準コストコントロール力作業工程能力(スケジュール管理能力)施工管理能力とプロジェクト管理能力協力企業管理能力その他の6つの要素をもとに契約事務所のプロジェクト担当契約担当官(KOまたはCO)が評価をする。その際、作業現場の管理担当である契約担当官代理やその補助をするQA(Quality Assurance)の意見を取り入れ総合的に評価する。


CPARSは5つの評価形式がある

それぞれのプロジェクトを担った企業には5つの評価が下される。

5つの評価には次のものがある。

  • Exceptional:仕様書の要求事項と米国政府の得られる利益以上の並外れた成績を残した。要は、めちゃくちゃすごいことをしてくれて、おまけにお土産まで差し出してくれた、とんでもなく素晴らしい会社だ、ということだ。
  • Very Good:仕様書の要求事項をしっかりと満たしてくれて、いくつかの点では並外れた仕事をしてくれた。要は、ちゃんと約束は守ってくれたし、結構気が利く会社だ。ありがとう、という感じだろう。
  • Satisfactory:仕様書の要求事項をちゃんと守ってくれたが、いくつかの問題や課題があった。つまり、まあ要求事項はちゃんと守ってくれたけれど、少し問題とかあってまだまだだ。今度また機会があったらしっかりルールを守ってほしい。お疲れさん、という感じだ。
  • Marginal:契約の要求事項に関していくつか遵守しておらず、プロジェクト担当企業から問題個所の修正すべき個所をいまだ指摘していない上に、修正作業が実施されていない。要するに、要求事項をちゃんと理解しているのか。問題が結構あって、うまくそれらの問題点を解決できていないだろう。何とかしっかりとプロジェクトを終了させてほしい。頼むぞ、という感じだ。
  • Unsatisfactory:ほぼすべての要求事項を満たしておらず、期限内にしっかりと問題個所を修正していない。深刻な問題がいくつかあり、いまだ対応作業についても不十分。これはやばいだろう。俺たちの要求事項をちゃんとわかっているのか。直さなきゃいけない個所がいっぱいあるだろう。時間通りに終わっていないし、まだ完成させていないだろう。おかげで作業個所がやばいことになって、どうしてくれるのだ。お宅はちゃんとやる気があるのか。

(非常に砕けた乱暴な言い方だが、契約事務所のコメントにはかなり辛口で書かれることがある。しかしそれぞれの表現はそんな感じだ。笑)

ここで今後米軍ビジネスをビジネスとして向き合う場合、成績表を付けられる際に目指すべき評価はExceptionalVery Goodだ。これ以下の評定は、あるプロジェクトで競争入札の場合、最終的評価が金額で拮抗した場合に【評価を優先する】ことがある。つまり過去の企業実績がリスクを取る米軍側にとって安全性を考慮に入れるとき、CPARSの過去の評価が大きく影響するからだ。また別の業態のプロジェクトでも全く関係性のない業界から参入する際もずっとこのCPARSが付いて回るからだ。実際プロジェクトの複雑性が高いとCPARSの評価基準をベースに選定企業を絞り込むケースもある。


まとめ

子供のころの通信簿の話に始まり、CPARSの話に無理やりつなげたが、米軍ビジネスでも【通信簿】の大切さを知ってほしく長く話した。

CPARSの評価対象には6つあること。そして5つの評価ランクがあること。最後に狙うべき評価はExceptionalVery Goodである。これを押さえておけば、CPARSは大丈夫だ。ぜひ今後の参考として押さえておいてほしい。

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