もしあなたが米軍調達にすでに参入し、米軍ビジネスを始めていて、なかなか案件を獲得できない場合、一つ考えてほしいことがある。今日ここでお話する内容を検討していただければ、新たな選択肢として業務を一気に拡大することができるだろう。
ただしこの内容は非常に強力である分、他の企業からは嫌われてしまうかもしれない。それでも良いと考えるのであれば、覚悟を持って読み進めてほしい。
狙っていた調達案件が落札できない…
私はかつて一時期、会社が米軍の調達案件を何度も札を入れても取れないという時期を経験したことがある。何度も応札額や過去の実績など、いろいろと落札できない理由を分析していた。というのも、結局は調達案件は【金額が低い応札額を提示した企業が勝つ】という大原則に則り、米軍も応札額を安くで入れる企業に案件を振っているからだ。
しかも市場のジャンルによっては競争が激化するジャンルも存在する。そんな時は一体どうやって落札のチャンスを広げるか、という話になるが、その答えは「市場を変えてみる」ことだ。
私が住むここ沖縄には、米軍基地案件を担う企業がごろごろ存在する。そんな中、新参企業はまともな金額で勝てないことがざらにある。これでは儲けが出ないような金額で札を入れて案件を取る企業も少なくない。そんな場合は改めて市場選定を違うところに目を向けることも検討するのもありだと思う。
私が目を付けた市場とは
一番簡単な話でいえば、参入する【場所】を変えたことだ。私はここ沖縄で勝てない場合は、場所を変えて参入することを考えた。その場所は【横田基地】だ。
横田基地といえば、東京にある在日米軍の空軍基地である。横田にももちろん多くの企業が参入する場所なのだが、私は物品調達で電気コンロの調達という案件に応札したのだ。
ただし通常の条件とは異なる条件が付いていた。それが、周波数50Hzの設計仕様であることだ。実は周波数は東日本と西日本では使用が全く異なる。この周波数の違いが電化製品、とりわけアメリカ製品では格段に電化製品の性能に大きく影響してしまうのだ。
日本では50/60Hzでも対応できる製品がほとんどだが、アメリカ製品にはそれが「ほとんどない」。しかも電圧は110-120Vが標準である。電圧と周波数が異なると、機械の故障が起きたり、性能が極めて落ちたりするのだ。モノによっては煙が出るなんてことも起こる。
電気コンロ300台の調達。私は50Hz、電圧110V対応の電気コンロを何とか探し、スウェーデンの企業のメーカーと金額交渉をした。残念ながら、この案件は米国のメーカーが落札した。しかも金額は我々が出した額よりも高い金額で落札されたのだ。
私は契約事務所に抗議したが、契約事務所からはこう言われた。「アメリカのメーカーが落札できたのは、米国製品だったから」と。いわゆるBuy American条項というやつで、我々は落札できなかったのだ。
しかしだ。それ以降、50Hz対応の電化製品の見積もり問い合わせを横田の契約事務所からずっと依頼されるようになったのだ。
市場を変えると思わぬチャンスがやってくる
要は何が言いたいのかというと、見方を変えるとチャンスは別のところに落ちているということだ。市場が飽和状態であれば、ニッチな市場に参入する、または全く別の場所で同じジャンルに参入するという選択肢も一つの事業計画に入れるということである。
例えば特殊な工法を持っている企業であれば、本土の市場でも重宝されることがよくある。例えば型枠工なんて本土ではとりわけ少ないが、ここ沖縄では比較的メジャーな工種だし、鉄筋工も同じだ。
あなたの得意とする業務が生かせる市場は必ずある。もし今の現状に行き詰まっているのであれば、新たな視点で参入場所を変えてみることも検討してみてはいかがだろうか。